社会人1年目

2023.02.16

去年から無事アニメ会社へ就職してせかせかと働き、気づけばもう3ヵ月が経った。

色んな事があってなかなかこの秘密基地にも顔が出せなかったが、久々に余裕が生まれたのでまたここを訪れることができた。過去の自分の書いた、まるで自分のものではない過去の投稿を見て、懐かしさと羞恥心で笑ってしまう。気づかぬうちに、自分も結構変わっているのだろうか。

そんなことを思っていたら、久々に一人で文章が書きたくなってきた。

自分の仕事を振り返る機会も取れなかったので、丁度いいだろう。

社会人になってから自分が何を経験し、どう変わったのか。


きょうは、そんなことに思いをふけよう。


自分はなんて仕事ができないんだろう

入社直後は、僕はとても仕事を楽しめていた。

憧れのアニメ会社に入って、絵の上手い人の絵をたくさん見ながら自慢できるようなアニメを作ることができる。

先輩は優しく、フレックスなので朝通勤の辛さも無い。

とても、楽しかった。


異変が起きたのは、入ってから1ヶ月半ごろである。

「じゃ、自分でやってみようか」

言われた単純作業をやるだけのフェーズが終わり、自分で考えなければこなせない仕事を任されるようになる。

責任感が多少ある仕事もやりがいがあるものだと、僕は喜々として仕事をこなしていた。

しかし僕はこの時、仕事というものを心底舐めていたと言える。


「はぁ……」

↑これが何かと言うと、先輩の呆れのため息だ。

というのも僕は、自分でも驚くほどミスを連発してしまっていた。

初めてなんだからミスもするだろうという言い訳もあるだろうが、事これに限っては僕に言い訳の余地はほぼ無かった。なぜなら、犯したミスがあまりに単純なものばかりだったからだ。ファイル名を間違える、フォルダを間違える、言われた作業を忘れる……。挙句、自分で直すと言ったことを忘れる。これでは、養護のしようがない。

先輩だけが一番仲良く話してくれていたその社会空間の中で、先輩に呆れられてしまった僕は何となく肩身の狭さを感じ始める。

そこへさらに拍車をかけたのが、自分の行いだった。僕はその時「こんな単純作業いずれは全部自動化できるし(フッ)」と居丈高に、堂々と、恐れ知らずにプログラミングばかりしていて、本業の仕事を学ぼうという気概を一切見せていなかった。言われたことだけやったら、後は自分の好きなプログラミングで遊んでいたわけである。当然それに対して他の人が突っ込むわけだが、自分が新時代の申し子だと思い込んでいる僕は「これが令和だぜ」と言わんばかりに開き直るのだ。他の人もやる事が無い時はジャンプを読んでいるような空間だったため、積まれるべきだったその芽は放置されてすくすく育っていってしまったわけである。

そんな訳で、その時のボクは偉そうなクセして単純な仕事1つできないウザい新卒となっていたのだ。

悲しげな先輩のため息を聞いた時、初めて僕はその事実を感じることができた。


僕がその時逸していたのは、「言われない事をやってこそ仕事ができる人」という感覚だと思う。

例え何もやることが無い時間があったとしても、自分でやることを見つけたり、勉強して次の仕事に備えたりすることが、仕事をしっかりこなすためには大切なのだ。

ただ言われたことをやるだけではゴミクズ当然だという事を、僕はこの時に学んだ。

もう1つ僕から抜けて落ちていたのが、「同僚もクライアント」という感覚だ。

僕がフリーで1人で仕事をやっていた時は、クライアントのために自分のやり方で最善を見つけていけば良い。しかしそれが会社となると、自分のやり方では良くない場合が往々にしてある。例えば今回だと、必要な仕事はその時に学べばいいと思って僕は将来的な投資となるプログラミングをやっていたが、一緒に働く先輩としては足踏みの揃わないこと甚だしいわけである。どっちがクライアントのために良いか悪いかなんてのはこの際どうでもいい。とにかく、同僚とも合意の上でストレスなく仕事ができることが大切なのだ。会社というのはリレーではなく二人三脚なのであって、個々での力を伸ばすよりも平均値を高めることが求められるのだ。

それが分からず、僕もずいぶんと悩んでしまった。


そんな訳で。

後日譚と言うか、反省。

今では心機一転、言われない事にも積極的に手を出し、しばらくは自分のやり方(プログラミング)を控えることにした。

それが不満で無いと言えばウソになるが、今はそれで仕事が楽しいので何だかんだ自分のやり方には合っているのだろう。仕事で結果を出すためには、色んな人の視線を気にしながら時に自分を殺して立ち回っていく必要がある。その繊細な技術を持っている先輩はやはり心の底から尊敬できるので、ひとまずは先輩のクローンを自分の中に作り出したいなぁと思っている。

「自分を殺す」ではなく「自分を進化させるんだ!」っていう意気込みで。

壁にぶつかっていくのも楽しいものだ。