緊張で食欲がでない

2022.05.10

こんなに緊張したのはいつぶりだろうか。

しかも、その緊張がずっと収まらず、起きている時ずっと続くのだ。

昼も食べていないのに夕飯があまり喉を通らないなんて、初めてだった。


今日は、今まで一番たくさんの絵文字を使った日として、自分史の記念日になるだろうか。

LINE上で快く話を聞いてくれそうな方々に、「アニメ作るので見て下さい!」というお願いをひたすらしていた。

まぁ文面だけ見ると普通だが(いや実際大したことは本当にしていないのだが)、これがもう僕のガラスのハートに効果テキメンで、1人また1人とメッセージが返ってくるたびに、僕は胸が高鳴っていくのを感じていた。

「凄い! アニメ作るんですね!」

「楽しみにしてます!!」

「超かっこいいです!!! 素敵!」

みんな本当に優しい人ばかりなので、こんな言葉ばかりが返ってくるのだ。

家のリビングが、まるで色んな人に見られているステージの上のように感じられたほどだ。色んな人の視線を一身に受ける。その視線は、こちらに「何か凄いこと」を期待しているものだ。薄暗くて見通しにくい観客席のように、表情の見えないLINEの向こう側はより緊張感を高めるようだ。

親戚に始まり友達はもちろん、部活の後輩、高校の時の部活の先輩、芸術大学で講師を務められているOB、アニメプロデューサー、アニメ業界の同期、編集者、仕事でお世話になったお医者さん、日本一周をしていた時に出会った謎の人々、学校の教授etc……。

数多の人に、「頑張ってー!」と暖かい言葉をもらった。

それが重なりに重なって今や、大変アチチになっている。

もちろん人数が多いというのもある。それはそうだ。1人の友達の前でやる一発ギャグと、4人の友達の前でやる一発ギャグ、どちらがより緊張するかは明白だろう。しかし。

しかしそれよりも(良い意味で)問題なのは、関係が深まり切っていない人もいるということだ。一発ギャグで例えると、今の状況は “まだ1度しか会っていない人含め、年齢・職業めちゃくちゃな大勢の前で、「期待してるよー!」「頑張れー!!」など言われながら一発ギャグをやる” ということとほとんど同じなのである。

お分かりだろうか……。

つまり、「(笑)」が通じにくいのである。

「すまん、遅れた(笑)」「全然できなかったわ(笑)」「いや無理だって(笑)」

これらの技は今、完全に封じられてしまったのだ。

つまり、すごくヤバいのだ。

加えて、僕は今までアニメをたった1本しか作ったことが無い。画力もペケポンである。しかし、今回依頼させていただいたほとんどの方は、僕がアマチュアであることを全く知らない。「本気でアニメ監督目指してます」というやる気だけを頼りに、引き受けてくださっている。

つまり、尚ヤバいのだ。

ヤバヤバなのだ。

だから、食べ物も喉を通らないのだ。


でも。

これこそ、僕が求めていたものだ。


だから、頑張る……!!